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11月のNANIWAのコンサートの時に俺の右側のアルティメートのスタンドに乗っかっていたこの年代モノのシンセを記憶している人も多いだろう。
俺は実はベースをキーボードで弾くのもスゴク好きだったりするのである。
事実HUMAN SOULの初期の頃は半分ぐらいシンセベースだった事もあったのだ。
当時はDX-7にOberheimのMatrixをつないで様々なラインを展開していたわけだが、今回紹介するNANIWA時代によく使っていたこのKORGのMS-20はオリジナルバージョンにカナリ手を入れて改造してある優れモノなのだ。

元来アナログシンセの音でベースラインを作るのが好きだった俺はMini MoogやArpのOdysseyを使ってレコーディングしていた。どうしてもライヴでも持ち歩きたい欲求にかられて購入したのがこのMS-20である。
KORGは国産の中でもVCFセクションが素晴らしく、非常に太い音が魅力的だった。主に使っていた音は矩形波(Pulse wave)にエンベロープを効かせたFunkyな音と、ノコギリ波のブレンドで作ったコントラバスのボーイングの音だった。

この矩形波のコントロールに実は秘密が隠されている。
ノーマルのMS-20はふたつあるオシレーターのうちひとつはPulseの幅も変えられるようになっている。
変えられるとは言えノブの調整による特定の幅にしかならない。
ところが俺のバージョンはPulseの幅をエンベロープ・ジェネレーターでコントロール出来るようにしてあるのだ。通常エンベロープコントローラーはフィルターセクションにかけて、言って見ればオートワウのように音色を変化させるのだが、それに加えてPulseの幅も変化させる事でますます艶っぽいGrooveがうねるワケだ。
Arpっぽい独特な倍音変化を感じながら俺は密かにニンマリしていたのだ。

加えて、このMS-20には特性の足鍵盤まで付いているのだ。
雄大なボーイングを左足に任せて、俺は気持ちよくハイポジションをさまよえるわけだ。
今でこそMIDIを使えばどんな鍵盤でも好きなシンセをコントロール出来るが、当時は超アナログ。
鍵盤全てのスイッチをリアパネルに出してライヴに耐えうるようにシリアルポートのごときソケットで接続可能にしてくれたKORGのスタッフにいまさらながらに感謝したい。

それだけ苦労したところで出せる音色は1種類だけ。
他の音を出したかったら、それこそ触らなければならないノブは十数個あるといった不便さで、無数に書かれたマーキングを頼りに曲間で音色を変えていた頃は遠い昔になってしまった。
とは言え、回路図がそのままパネルになったようなアナログシンセは、なぜ音が出ているのかを実感しながら料理できるといった安心感があった。プラグイン全盛の昨今のスタジオでは確かに音はよくなり、便利になって、ありがたくはあるのだが、何故そうなっているのかが実感として理解できない俺はやはりアナログ人間なのだろうか?


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